キミを奪いたい
「も、もしもし!」
「あやの?今どこにいる?正面玄関にいるんだけど姿が見当たらないから」
「あ!ご、ごめん!今すぐ行くね!」
いつの間にかお迎えの時間になってたらしく、慌てて立ち上がってカバンを肩にかけ直してその場から駆け出す。
「待たせてごめんね!」
正面玄関で待っていてくれたのは侑真だけだった。
他のメンバーは多分病院前の大通りで待ってくれてるんだと思う。
わざわざ迎えに来てくれるところが侑真らしい。
「体調悪いんだから走ってこなくてよかったのに」
そう言って、走って乱れた私の前髪を直してくれる侑真。
過保護なところ相変わらずというか。
彼女が出来たら、絶対彼女幸せだろうなっていつも思う。
「……」
「あやの?」
「……あ、行こっか!みんな待ってるよね!」