キミを奪いたい



彼女という言葉で、リョウのことを思い出した。



なんか、さっきのリョウ、変だったよね……?



すれ違いざまに目が合ったリョウは、一言で言えば“無表情”で。


てっきり、前みたいな冷めた瞳で見られるものだとばかり思っていたから、なんだか複雑な気持ちというか……逆に謎に思えて仕方なかった。



それともう一つ、気になることがある。





“────あやの?”




あのとき、リョウ、私の名前呼んだよね?

聞き間違いなんかじゃないよね?



あのときは突然再会したことに驚いてリョウに呼ばれたことまで頭が回らなかったけど、

冷静になって思い出してみれば、確かにあのときリョウは私を呼んでいた。

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