キミを奪いたい
「あやの、下のヤツに話す前に先に話しておく」
「……うん」
そろそろ下へ行く時間だな、と思っていたとき、突然侑真にそう言われた。
私に発言権も決定権もない。
それなのに、なんでメンバーたちより先に話すんだろう。
そう思った直後、その理由が分かった。
「雷神とは手を組まないことにした」
まず言われたのはそれで。
聞いた瞬間、良かった、とホッと安堵のため息を零した。
正直、あの総長にはもう会いたくなかったから、侑真の下した決断に反対はしない。
「……でも、手を組まなかったら雷神と争うことになるんじゃないの?」
雷神と手を組んでほしくはなかったけど、断ったら断ったで、ややこしいことになりそうなのは目に見えている。
あの総長が大人しく引き下がりそうもないし。