キミを奪いたい
「あやの。あやのが言いたい時に言ったらいいんだからな」
「……うん。ありがと、侑真」
「あ、そいつとつき合うようになったら言えよ」
「……うん」
「そうなったら寂しいけどな」
──お前が幸せになれるんならいいよ。
そう言った侑真はポンッと私の頭を撫でて瑠衣たちの元へ歩いていった。
騒いでいるみんなを眺めながら、ソファーにそっと腰を下ろす。
「みんなと離れる、か……」
そうなったらやっぱり寂しいな……。
リョウとつき合ってることをみんなに言ったら、私は緋月( アカツキ )を抜けなきゃいけないだろう。
それは、姫を続けるときに侑真と約束したことだから。