キミを奪いたい


卓さんのお店は繁華街のメイン通りから少しはずれた場所にあるせいか、車ではお店の前までは行くことが出来ない。

だから、いつもお店の近辺で降ろしてもらい、歩いて行く。


降りた場所はメイン通りに近いせいか割と人通りも多くていいんだけど、数十メートル歩くと急に人通りが無くなって少し怖い。


別に薄暗いこの道を通らなくてもいいんだけど、この路地を通った方が近道らしい。

一人なら絶対にメイン通りを通ってると思う。



「あーちゃん、こっち側歩いて」

「う、うん」



前から歩いてきた若者が前を見ずに歩いてきたからぶつかりそうになった。

なっちゃんが腕を引いてくれなかったら絶対ぶつかってたと思う。



「離れたらダメだよ」

「うん。ありがとう、なっちゃん」


夜の繁華街に良い印象がない私は、幹部たちに囲まれながら隠れるようにして歩いた。


卓さんのお店が車降りてすぐの所にあったらいいのに。

それか、倉庫の近くに来て欲しい。

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