キミを奪いたい

どうしたんだろうと振り返れば、なっちゃんは私ではなく違う所を見ていて。



「なっちゃん?」

「あ、ごめんね。行こうか」

「う、うん」



何事も無かったかのように歩き始めるなっちゃんに疑問を抱いたけど、

今はみんなを追いかけなきゃという気持ちの方が勝って、後ろ髪を引かれる思いでその場から歩き出した。


けど、やっぱり気になって、なっちゃんが見ていた方へと振り返ってみる。



何もない、よね……?
何か見てた気がしたんだけど……



視線の先に広がるのは、いつもの繁華街の姿。

行き交う人々に変わりもないし、気になりそうなことも起きてはない。



……ただ見てただけかな?


そう自己完結をして、スッキリしないままなっちゃんの後を追いかけた。










私は数日後、知ることになる。


なっちゃんが“何”を見ていたかを。

いや、“誰”を見ていたかを。





────数日後、“あの場所”で。


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