キミを奪いたい
そして、お出かけ当日の午前10時。
ランチまでに準備を終わらせるため、早めに緋月に到着した鳳皇のみなさん。
女子三人は空いてる部屋に籠り、リンちゃんが用意してくれた変装セットで準備開始。
それから一時間もかからず準備は完了し、今現在に至る。
───それにしても、本当に別人みたい。
全身鏡に映るのは、もはや別人とも言える自分の姿。
スカートは好きだからよく着るけど、いつもは割とシンプルな洋服が多いから、今日みたいなフリルつきのシフォンワンピースがすごく新鮮で。
なんだかお姫様になった気分でテンションが上がる。
「あやのちゃん、私と体型似てるからピッタリだね!」
「妃奈ちゃんの服すっごく可愛い。貸してくれてありがとう!」
そう。実はこの服、妃奈ちゃんの服だったりする。
グループチャット中、話の流れで可愛い系の服を持ってないと言ったら、妃奈ちゃんが『貸してあげるよ!』と言ってくれて。
リンちゃんみたいに男装するわけじゃないから、最初は遠慮したんだけど、ウィッグ被るついでに洋服おイメージも変えようよってことで貸りることになった。