キミを奪いたい
リョウのことを知った昨日から、繁華街にいないのならそれ以外のところにいるかもしれないと思い、車で移動中はずっと窓の外を眺めていた。
けれど、どれだけ探してもリョウの姿は見当たらなくて。
番号を知っているのだから電話すればいいんだろうけど、あいにく私にそんな勇気は持ち合わせていない。
だって、もしリョウが電話に出て、電話した理由を聞かれても何も答えられないだろうから。
“何かあったのかなと思って”
……なんて、何の関係もない私に言われても困るだけだと思うし。
「着いたよー」
「ありがとう、成くん」
運転手の成くんにお礼を言い、侑真と瑠衣にもバイバイと手を振ってから車から降りる。
そして、いつもみたいに車が見えなくなるまで見送った後、マンションに向かって歩き始めた。
「────ねぇ、ちょっといい?」
オートロックを解除しようと手を伸ばそうとしたとき、背後から誰かに呼び止められて。
何だろうと、ゆっくりと振り返ると……
「…………え?」