キミを奪いたい
***



「あやのどうした?腹でも痛てぇのか?ウン───」

「瑠衣!デリカシー皆無か!」

「……ンだよ、そんぐれーで大声出すなよ」

「瑠衣、大丈夫だよ。ぼーっとしてただけだから」



二人がヒートアップする前に慌てて止めて、その後また窓の外へと視線を移す。





はぁ……学校へ行くの憂鬱だなぁ……



ナギサくんが来てからというもの、何をするのも億劫でやる気が起きない。


その原因はもちろんリョウの婚約者のこと。


リョウの周りにいる女の子にもあんなにモヤモヤしていたのに、それより深い関係の婚約者だなんて……

そんなの、悩みなさいって言われてるようなものだよ……



「はぁ……」


もう、溜め息しか出てこない。




「あやの、顔色悪いな。体調悪いんだったら帰るか?」

「ううん、大丈夫だよ」

「我慢すんなよ。無理そうならすぐ保健室へ行け」

「うん」


ほんと私ってみんなに心配かけてばっかりだね。



「……侑真」

「ん?」

「いつも心配かけてごめんね」

「気にすんな」

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