キミを奪いたい
「──ハッ。お前が今話題のZeusか。ってことは総長はお前か?」
「ん?総長?何言ってんの?俺らは暴走族じゃないよ。ただの不良の集まり」
「はぁ?」
「瑠衣、やつらは暴走とかしない不良グループだ」
「何だそれ。っていうか、暴走族だろうがただの不良だろうがどうせでもいいし。Zeusが俺らの敵だっつーことは間違いねぇんだろ!?」
「まぁ、それはそうだね」
Zeusの男の子を放置して会話を続ける瑠衣と颯太。
そんな二人を興味深げに見ていた男の子の口から、フッと笑みが零れた。
それは馬鹿にするようなものではなくて、ごく自然に出てきたように見える。
けど、それは私がそう捉えただけで、瑠衣にはそう見えなかったみたいだ。