キミを奪いたい
「あやのの居場所が分かった。連れて帰るのなら着いてこい」
「おい、どういうことだよ!」
何の説明もなく歩き始めるリョウに瑠衣が噛み付くけれど、リョウは気にも止めずに歩いていく。
「クソッ!」
侑真たちは着いていくしかなかった。
手がかりは全てリョウが握っていたから。
「行くぞ」
そう侑真が三人に声をかけた時、
「リョウ!歩いて行く気か!?」
四人の背後からリョウに向けてそう投げかけた人物がいた。Zeusの幹部であるナギサだ。
同じく幹部であるイズルは別件で出払っていて、彼だけがリョウと行動を共にしていた。
「リョウ!」
叫声にも関わらずリョウは何の返事もしない。
けれど、一度だけ振り返り、ナギサを見つめた。
────いや、見つめたなんて優しいものではない。明らかに睨んでいた。
それを見ていた侑真たちは一瞬疑問に感じたけれど、すぐにあやのの事へと切りかえた。