キミを奪いたい



「テメェ、なにがおかしいんだよ!!」

「いや、似たような会話をするやつがウチにもいるからつい」

「はぁ!?テメェ!」



クククと喉奥で笑いを噛みしめてる男の子に即座に噛みつく瑠衣は、どこからどう見ても男の子にいいように転がされているようにしか見えない。



このままじゃケンカに発展する。


そう思ったけど、瑠衣が唯一頭が上がらない人────総長である侑真がやめろと制したお陰でなんとか収まった。


チッと悔しそうに舌打ちした瑠衣に、男の子の口角が愉快げにゆがむ。



陽と陰が入れ替わるのはもう見慣れた。
けど、怖くないわけではない。出来ることなら今すぐこの場から逃げ出したいぐらいだ。


けど、それが出来ないことぐらい無知な私でも分かる。



こんな一発触発な空気の中逃げ出すなんて、小心者の私が出来るわけがない。

出来ることと言えば、せいぜい侑真の後ろに隠れることぐらいだ。
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