キミを奪いたい


「……え? 緋月?」



って、侑真たちのことだよね?


この場所に緋月がいるなんて思ってもいなかったし、何より、それを知っているってことは、リョウと侑真たちが顔を合わせたということになる。



もしかして、一緒にここへ来たの?



そんなこと、敵対している彼らからは想像もつかなくて、本当に外にいるのだろうかと疑ってしまう。


けれど、その疑念は、玄関を出たところで消え去った。



「あやの!!」


遠くの方で私を呼ぶ侑真たちに声が聞こえる。



「みんな……」


目の前に広がるのは、庭園のような玄関アプローチ。

大小の木々が覆い茂っていて、侑真たちの姿は全然見えない。

けれど、私を呼ぶ声が次第に大きくなり、数秒後、侑真を先頭に緋月の幹部たちが目の前に飛び出してきた。



「あやの! 無事で良かった!」

「心配しただろ!? 怪我してねぇか!?」

「あーちゃん、本当に良かった」

「マジで焦ったじゃねぇか馬鹿野郎!」

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