キミを奪いたい
「……みんな、心配かけてごめんね。
迎えに来てくれてありがとう」
必死な顔で駆け寄ってきたみんなに、心から謝罪とお礼の言葉を伝える。
そして、小さく微笑むと、みんなは安心したのか、ホッと表情が和らいで笑い返してくれた。
「あやの、帰ろう」
「う、うん」
侑真が手を伸ばしてくれるけど、リョウに抱っこされている手前、何だか行きにくい。
チラッとリョウを見れば、私の視線を感じたのかリョウが振り向いてきた。
けど、何も言わなくて。
どうしようと悩んでいたら、侑真に腕を引かれて体が傾いた。
変な体勢になったことで、自然と離してくれたリョウ。
もう少しで落ちそうになったけど、すぐ傍にいたなっちゃんが支えてくれて、無事侑真の腕の中に収まることが出来た。