キミを奪いたい
「ねぇ、女の子を隠してるアンタが総長?」
「……そうだって言ったら?」
「べっつにー?ただ挨拶しとこうかなって思っただけ」
「……そういうお前はZeusのトップなのか?」
「へ?俺がZeusのトップ?んな訳ないじゃんー!」
今日一番大きな声でケラケラと笑い飛ばした男の子に少しだけ気が緩んだ。
いつもこんな風に笑ってればいいのに。
……なんて、偉そうに人のことを分析していた私の目に、次の瞬間、信じられないものが飛び込んできた。
「……っ、なん……で……」
────いや、違う。“もの”じゃない。
“人”────だ。
「リョ……」
私の、大好きな人。
この三日間、声を聞くたび逢いたいと思っていた、愛しい人。