キミを奪いたい



「なぜここへ来た?」



そう投げかけたのは、総長である侑真だった。

その時にはもう雷神の時と同じように倉庫内は静まり返っていて、メンバーの視線がリョウへと集中していた。


その視線が雷神の時よりも警戒してるように感じるのは、この状況が二度目だからだろうか。

それとも、リョウ自身を警戒しているからだろうか。


両方あるだろうけど、どちらかと言えば後者の方だと思った。


Zeusが雷神に勝ったから。

それは、雷神とトップを競っていた緋月にとって衝撃的なことだった。


リョウは、同格の雷神に勝ったチームのトップ。

警戒しない方がおかしい。







「……あやのに話があって来た」



静寂の中で放たれた自分の名前に、小さく喉が鳴る。

それとほぼ同時に侑真から逸らされた、リョウの視線。


「っ、」


その視線は、まっすぐ自分に向けられた。

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