キミを奪いたい
思わず息を呑んでしまったのは、思っていたよりも力強い瞳だったから。
まるで何かを決意したかのようなその瞳。
あまりにもまっすぐ見つめてくるから、なかなか逸らす事が出来なくて。
見つめ合ったのは、ほんの一瞬だっただろうけど、まるでこの場に二人だけのなったような不思議な感覚に陥った。
「話? させると思ってるのか?
言ったよな。あやのと関わるなって」
決して許しはしない。
そう言っているかのような荒々しい口調だった。
そんな侑真の口調に顔色一つ変えないリョウは、この雰囲気にも関わらず、ゆっくりと私たちの方へと歩みを進めてくる。
すぐさま戦闘態勢に入るメンバーたち。
私たちの近くにいたメンバー数人が、幹部を背にしてリョウの前に立ちふさがった。
それによって、ようやくリョウが数メートル先で立ち止まる。
「……」
「……」
メンバー越しに侑真とリョウが対峙する。
けれど前と違うのは、リョウからは敵意が感じられないこと。
……リョウは一体なにを話に来たの?
そう疑問に思ったとき、まさにその疑問に対する返答がリョウの口から放たれた。
「家と縁を切るつもりでいる」