キミを奪いたい


そう言った煌さんはこちらへと振り向き、侑真に目配せをした。

煌さんの視線の先にあるのは、二階にある幹部部屋。


きっと、そこで話せってことなんだろう。


侑真もそれを察したらしく、リョウに「話なら向こうで聞く」と言った後、私に向かって軽くうなづいた。それに私もうなづき返す。



「リンちゃん、ごめんね」

「全然大丈夫だよ!……あやのちゃんは大丈夫?」

「……うん、大丈夫。行ってくるね」



リンちゃんに軽く手を振って、侑真の後を追いかける。

すでに幹部たちは侑真に着いて行っていて、リョウもその後ろを歩いていた。

私はそのリョウの後ろ姿を見ながら着いていく。





「……どういうことだ?」

「なんでアイツの口からあやのちゃんの名前が出てくんだよ」

「意味わかんねー」



背後で小声で話しているメンバーたち。


訳が分からないまま放置されているんだもん。不満が出るのも仕方ないよね。


リョウの話がどういう話しなのかはまだ分からないけれど、リョウの口から私の名前が出た以上、リョウとの関係をメンバーたちに隠すことは出来ない。

後でちゃんと話さなきゃ。

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