キミを奪いたい
幹部部屋に入ると、リョウが侑真の向かいのソファーに腰を下ろす所だった。
私が入ってきたことに気付いた侑真が、自分の左隣をポンポンと叩いて座るよう促す。
三人がけソファーの真ん中には私、右隣には侑真、左隣にはなっちゃんが座った。
そして、斜め右にある二人がけソファーには瑠衣と颯太が座っている。
少しの沈黙の後、話を切り出したのは総長である侑真だった。
「さっきの事を聞く前に一つ聞きたいことがある」
「……」
「なぜその話をしにここへ来た?」
それは、リョウがここへ来た目的を知るためのもっとも適した質問だった。
リョウは私と話がしたいと言った。
それと“家と縁を切る”ことと一体何の繋がりがあるのだろう。
「───あやのをもう一度手に入れるために」