キミを奪いたい


「えっ?」



あの場に彼女がいたの?


あの時見られてたのはナギサくんたちだけだと思ってた。

まさかあの場に彼女もいたなんて……



「あの女にだけはお前の存在を知られなくなかった」



──あの性格だ。何するか分かんねーからな。



と、そう言われ、何となく察した。

リョウの言いたいこと、分かる気がする。だって、リョウへの執着が尋常じゃなかったから。



「連絡がつかなかったから念の為に部下をマンション付近で張らせてたんだが……まさか学校で拉致するとはな。想定外だった」



悪かった。

と謝るリョウに慌てて首を横に振る。



「リョウのせいじゃないよ」



そうだ。リョウのせいじゃない。

あの日電話に出なかったのは自分のせいだ。リョウは何も悪くない。


ただ、あの日はタイミングが悪かっただけで……


と、そこでふと脳裏を過ぎったのは、“ナギサから聞いた”と言ったリョウの言葉。


ナギサくん……


ナギサくんから言われた言葉の数々を思い出すだけで自然と頭が下がっていく。



……今日のこと、ナギサくんは知ってるよね。Zeusの幹部だもん。知らない訳ない。

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