キミを奪いたい
「っ、」
そんなとき、不意に外されたリョウの視線。
それがある一点で止まったとき、今度こそ本当に心臓が止まったかと思った。
……っ、やだっ……!
リョウがなにを捉えたかなんて、視線をたどらなくてもすぐに分かった。───とたん、私は握りしめていた侑真の服を離し、代わりに自分の胸元を強く握りしめた。
服越しに伝わってくるのは、自分の心臓の音。
それはドキドキなんて可愛らしいものじゃなくて、今にも張り裂けそうなほど激しい心臓の音だった。
それを聞いていたら次第に息をするのもままならなくなってきて、服を握った手が小刻みに震え出す。
だけど、そうなってもまだリョウから目を逸らすことが出来ずにいる私。
だって今、目を離したら私たちの関係が終わってしまうような気がして……。