キミを奪いたい
そうだと分かっていても、なんだか寂しく感じてしまう。
若頭になる為に作ったのだとしても、Zeusはリョウにとってかけがえのない居場所だったと思うから。
「さっきも言ったが、後悔はしていない」
顔に出ていたのか、それとも何となく察したのか。
どちらか分からないけれど、私の心情を察したリョウがそう言ってくれた。
けど、そう言われても気にしてしまう。
だって、Zeusを解散させる理由は自分にあるから。
「お前と離れる方が後悔する」
「リョウ……」
そう言われて素直に嬉しかった。
心の中では嬉しい感情と複雑な感情が入り交じっているけれど。
それでもやっぱり嬉しいものは嬉しい。
「……後押ししてくれたのはお袋だ」
……え?
唐突にそう言われて、目を見開いた。
……後押ししてくれたのが、お母さん?
って、どういうこと?