キミを奪いたい
「まさかこんな急展開になるなんてね~。ほんとビックリだよ~」
私たちの目の前では、緋月メンバーvsリョウの熾烈な争いが繰り広げられている。と言っても本気ではなく、一対一のお遊び喧嘩。
そうは言っても、喧嘩大好きな彼らは結構本気というか。瑠衣なんか目をギラギラさせて向かっていっている。
リンちゃんも今はここで大人しくしているけど、手合わせが決まった時には誰よりも先に手を挙げていて。
総長さんに却下されたから仕方なく諦めていたけど、されてなかったら今もあの中に混ざっていたに違いない。
「私も未だに信じられなくて……夢かなって思ってるよ」
「……確かめる?」
「えっ!?ううん、遠慮しときます!」
リンちゃんが自分の頬っぺたを引っ張るのを見て、慌てて首を振って辞退する。
リンちゃんに引っ張られたら……って想像しただけで痛そうで、身震いしちゃう。
「あ」
喧嘩で思い出した。
「ん?どうしたの?」
「ちょっと相談したいことがあって……」
「相談?」
「うん。あのね……」