キミを奪いたい


「まさかこんな急展開になるなんてね~。ほんとビックリだよ~」



私たちの目の前では、緋月メンバーvsリョウの熾烈な争いが繰り広げられている。と言っても本気ではなく、一対一のお遊び喧嘩。


そうは言っても、喧嘩大好きな彼らは結構本気というか。瑠衣なんか目をギラギラさせて向かっていっている。


リンちゃんも今はここで大人しくしているけど、手合わせが決まった時には誰よりも先に手を挙げていて。

総長さんに却下されたから仕方なく諦めていたけど、されてなかったら今もあの中に混ざっていたに違いない。



「私も未だに信じられなくて……夢かなって思ってるよ」

「……確かめる?」

「えっ!?ううん、遠慮しときます!」



リンちゃんが自分の頬っぺたを引っ張るのを見て、慌てて首を振って辞退する。


リンちゃんに引っ張られたら……って想像しただけで痛そうで、身震いしちゃう。



「あ」


喧嘩で思い出した。



「ん?どうしたの?」

「ちょっと相談したいことがあって……」

「相談?」

「うん。あのね……」

< 391 / 476 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop