キミを奪いたい





リョウが緋月に来てから一週間。

あの日から、リョウとは一度も会っていない。


次会うのは組の問題が解決してからにしようって、あの日の帰り際にそう約束をした。


会えないのは正直寂しいけれど、今まで離れてた事に比べたら全然耐えることが出来て。

以前と同じように毎日連絡を取り合うようになったってだけでこんなにも心に余裕が生まれるなんて、ほんとに恋って偉大だなって思う。



「あと10分かぁ……」



時計を確認するのはもう何度目だろうか。

今まで生きてきた中で、こんなにも時計を確認したことはないってぐらい何度も時計を見ている気がする。


でも、それぐらい待ち遠しいんだ。

会いたくて会いたくて仕方なかったリョウにもうすぐ会えるから。






リョウから連絡が来たのは、二日前の夜のことだった。


そろそろ寝ようかなって思って布団に入ろうとしたとき着信が入って、

てっきりいつものおやすみコールかと思ってたけど、開口一番言われたのは『全て片付いた』という報告で。

私はそれを聞いた瞬間、思わずガッツポーズをしてしまった。


時々現状報告を受けてはいたけれど、まさかこんなにも早く解決するなんて思ってもいなかったから本当に驚いた。


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