キミを奪いたい



追いかけようとした瑠衣を低い声で制した侑真。


いつもならそれぐらいの制止で諦めたりしない瑠衣だけど、侑真から放たれている威圧的なオーラに何かを感じ取ったのか、ポケットに両手を突っ込んで荒々しく地面を蹴り上げた。


「瑠衣!」


先に歩き出した瑠衣を困った顔で追いかけていく颯太。




「ゆう、ま……」



怖かった。侑真が知らない人に見えて怖かった。

だから、一度離してしまった袖をもう一度握りしめて、ムリヤリいつもの侑真に引き戻そうとする。


こうすればいつもの侑真に戻ってくれるって分かってたから。

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