キミを奪いたい
お母さんとお別れをして、早くも二週間が経とうとしていた。
あの日からリョウも私もバタバタしていてゆっくり会えていない。
けど、会えなくても全然寂しいなんて思わなかった。
だって、忙しいのはお母さんの事でだもん。
リョウにとってお母さんは特別な人。
だから、ゆっくり、穏やかな気持ちでお別れをしてほしい。
「……で、結局リナさん?だっけ?はどうなったんだろうね~」
「それが、リョウにも分かんないらしくて……」
「そりゃそうだろ~。リョウももう組の人間じゃねぇからな」
「まぁ、そっか。そうだよね」
今日は倉庫に鳳皇のみんなが遊びに来てくれている。
電話は時々報告も兼ねてしていたんだけど、倉庫に遊びに来てくれるのはリョウが来た日以来だ。
「っていうか、ほんと練習してて良かったよね~!」
「うん!全部リンちゃんのおかげだよ。本当にありがとう!」
「いやいや、そんな~」
「でもまさか、本当に出来ちゃうなんて……その時は無我夢中だったから気にしてなかったけど、後で思い返したらよく上手くいったなって思うよ」
「あやのちゃん、それはね、運だよ、運!」
「う、運……確かにそうかも」
あんなタイミング良く蹴れるなんて、運以外ありえないよね。