キミを奪いたい
「……っ、リョウ、もう」
離れては触れての繰り返しで息も絶え絶えで。
もう無理だと白旗を上げるけれど、
「やめる訳ねぇだろ。どんだけ我慢したと思ってんだ」
「……んっ」
どれだけキスをしても足りない。
そう言いたげにまた繰り返しキスされる。
「っ、リョウ」
「今はこれぐらいで我慢してやるよ」
「い、今は!?」
ギョッと目を見開くと、珍しく顔を崩して笑ったリョウ。
その意味深な笑顔に顔が引きつる私。
嫌な予感しかしないんですが……
「え、遠慮しま───」
「楽しみだな」
「んっ!?」
お断りの言葉はキスで塞がれて。
「────もう二度と離してやんねぇよ」
唇が離れたと思ったら、その代わりに極上の笑顔が向けられた。
「私だってもう二度と離してあげないから!」
お母さんと約束したもんね。
ずっとずっとリョウと一緒にいるって。
お母さんの分までリョウを愛していくって。
二人で幸せになるって、約束したから。
「────好きだ」
「……うん。私も大好き!」
────二人で幸せになろうね、リョウ。
キミを奪いたい【完結】
→ショートストーリー『その後二人』
5月6日 upしました!