キミを奪いたい
「リョ、ウ……?」
あんなにもかたくなに顔を上げなかったくせに、リョウがなにを言ったのか知りたくて。至近距離にいるのも関わらず顔を上げてしまった。
「っ」
けど、上げてすぐに後悔した。
すぐ目の前にリョウの顔があったから。
目に飛び込んできた鋭い眼光に射抜かれて、顔を上げたまま固まってしまう。
本当はすぐに目を逸らしたいけど、私を見下ろすリョウの双眸がそれを許してくれない。
まるで催眠術にかけられてしまったかのように、リョウの目を見たまま固まる私。
「お前がどこの誰であろうと手放す気はねぇ」
「っ」
「俺んとこに来い」
「っ、」
さっきまであんなにも無機質な瞳だったのに、今はその影すら見当たらなくて。
まるでリョウと初めて出逢った時と同じような感覚が私を襲った。