キミを奪いたい

「っ、」



ドンッ!と頭上で壁を殴る音がして、壁越しに伝わって来た衝撃にビクッと体が揺れた。


おそるおそる顔を上げれば、すぐ真上にリョウの腕があって、



「っ、リョウ……っ!」



そのまま壁へと視線を流せば、リョウの拳から血が滴っているのが見えた。



「手が……!」



リョウが壁を殴ったということはその音と伝わってきた衝撃で分かっていた。けど、まさか血が出るほど強く殴ったなんて思ってもいなくて。



「リョウ……!」


すぐさま立ち上がって、カバンからハンカチを取り出す。


そしてリョウへと手を伸ばせば、

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