キミを奪いたい


「───の。あやの!」

「っ、あ、ごめん……!」




……あぁ、またやっちゃった。



最近、こういうやり取りが頻繁にある。

それは決まって私がボーッとしているときで、今みたいに何度も何度も呼ばれてようやく気づく。


そんなやり取りが二度三度続けばさすがにみんなも変に思い始めて、聞きたがり知りたがりな瑠衣には尋問ですかと言いたくなるほど何度も何度も問い詰められた。


侑真が止めてくれたからすぐに収まったけど、聞きたい欲は収まっていないのか、今でもボーッとしてると瑠衣の不審げな視線が突き刺さってくる。



「体調悪いなら帰るか?それなら送るけど」

「ううん、大丈夫」



侑真だって私がボーッとしている理由が知りたいはずだ。それなのにそれを聞かずに見守ってくれているのは侑真が私のことを想ってくれているから。



侑真はいつもそうだ。

今まで何度も悩んだり迷ったりしたけど、侑真はいつも私の気持ちに整理がつくまで待っててくれる。

それがとてもありがたくて嬉しくて。

あぁ、傍にいるのが侑真で良かったなって、いつも思うんだ。


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