キミを奪いたい
「Zeusがやったかどうかはこれから調べる。とりあえずやられた奴んとこ行くぞ」
「あぁ」
「っ、ゆ、侑真っ」
私はどうしたらいいの?
そう思って呼び掛ければ、侑真はすまなさそうに私の頭を撫でてきた。
「あやの、悪い、一人で待っててくれるか?それか、帰るんだったら下の奴に送らせる」
「ううん、待ってるの悪いから帰るよ」
それが一番いいよね。
だって、この様子じゃあいつ帰って来れるか分からなさそうだし、なにより、私が待ってると思ったら気を使って早めに切り上げてきそうだから。
「そうか、悪いな」
「ううん、私こそ大変なときに送ってもらってごめんね」
「馬鹿。そんなこと気にすんなよ」
コツンと私の頭を軽く小突いてきた侑真にふふっと小さく笑った私は、二人の背中を押して早く行くよう促す。