キミを奪いたい



「お、お兄ちゃん私無理だったら────」

「大丈夫だよ。陽沙、あやのを連れて行くって言ったらものすごーく喜んでたから」



ひ、ひぃぃぃぃぃ……っ!
だからその笑顔が怖いんだってば……!



陽沙ちゃん大好きなお兄ちゃんはちょっとのことでヤキモチを妬く。

それがただのヤキモチならいいんだけど、陽沙ちゃん曰く、ヤキモチを妬いたらとんでもなく意地悪になるらしい。


どう意地悪になるのか詳しく聞いてみたんだけど、陽沙ちゃんは赤面するだけで教えてくれなくて。

まぁ、とりあえず分かってるのはお兄ちゃんは陽沙ちゃんのことがものすごーく大好きで溺愛しているってことだ。



「あやの、陽沙が待ってるから行こう」

「う、うん」



ちなみに、お兄ちゃんは私にも超溺愛だったりする。

私もお兄ちゃん大好きだからそれは全然良いんだけど、私の周囲の人───緋月のみんなは色々苦労したみたい。


普段は物腰柔らかで言葉遣いとかは優しいんだけど、なにかあったときはものすごく怖くて。

それがまたさっきみたいな笑顔で威嚇したりするもんだからみんな怖すぎて固まっちゃってた。


お兄ちゃんを見てると、普段優しい人を怒らせると怖いっていうのは本当なんだなって思う。

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