キミを奪いたい

そんな不機嫌丸出しなお兄ちゃんを冷ややかな目で見る陽沙ちゃん。



「怜乃(レノ)だって学習能力ないよね。私があやのちゃんのことお気に入りなの知ってるでしょ?」

「ひ、陽沙ちゃん……!」



機嫌が悪いお兄ちゃんになんてことを……!


今にも喧嘩しそうな二人にひぇーっと心の中で発狂する私。


実はこのやり取りも毎度のことで。間に挟まれている私はどうしたらいいのか分からず、いつも成り行きを見守ることしか出来ない。



あぁ、早く収まってくれないかな……。



そう思ったとき、お兄ちゃんと睨み合っていた陽沙ちゃんが突然私に視線を移してきた。

かと思えば、顔バレ防止で装着していた私のマスクをクイッと引っ張って剥がしてきて。



「顔バレしたくないのは分かるけど、今は禁止!」



久しぶりなのにあやのの顔が見れない!と、私にまで可愛く怒り出した陽沙ちゃんに思わず笑ってしまう。

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