ありがとうと猫
僕を拾ってくれたあの頃から時が経って、
あなたはすっかり大人の女性になった。
怖かった。
あなたがどんどん離れていくのが、
怖くて怖くて心が千切れそうだった。
メイクをして僕にバイバイと手を振るあなたを、
僕はすぐにでも抱き留めたかった。
でも人間の手足がない僕は、
泣くしかなかった。
僕の気持ちをよそにあなたは彼氏を連れてきた。
かっこいいとは言えないけど笑顔が素敵な人で、
僕は悔しい気持ちとこの人を選んだあなたを誇らしく思えた。