嘘は輝(ひかり)への道しるべ
プロローグ
『カシャッ、カシャッ…』
カメラのシャッター音が響く……
無駄な音は一切響かない、緊迫した空気が流れる……
いつの間にか慣れてしまったこの音……
それでも、この場に立つと緊張がすっと背筋を走り、プロとしての意識がヒカリを前に向けさせる。
スポットライトの光に向かい、今年流行りの白いノースリーブのワンピースに身を包み、カメラに向かって指示に答え、体の向きを変える。
目に映る光りに、自分がこの場所に立った意味……
そして、様々な人に支えられた事を改めて感じる。
「ヒカリちゃん、そのまま振り向いて思いっきり笑って!」
カメラマンの声が、ヒカリを最高の笑顔へと導いた。
ヒカリは振り向き、とびっきりの笑顔を向けた。
この時、ヒカリの決意は固く、もう、何も迷いは無かった。
「はい、オッケー!」
カメマンの声が響き、周りで構えていた人達が慌ただしく動き始めた。
ヒカリは大きく息を着き、誰にと言う訳でなく深々と頭を下げた。
そこには、深い思いと感謝が溢れていた。
スタッフが慌ただしく動く中、颯爽と歩き出すヒカリの姿は凛々しく、関係者が何人も声を掛けてきたが、ヒカリは軽く頭を下げ、スタジオを後にした。
ヒカリは、そのまま事務所の社長室へと向かって歩いた。
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