嘘は輝(ひかり)への道しるべ
 愛輝は肩を震わせ祐介を見た。


「愛輝、いつからそこに…」


 祐介の言葉を遮るように、愛輝はその場を走り去った。

 玄関を飛び出すと、外の雨が激しく降りつけたが愛輝はとにかく走り続けた。



 どれだけ走ったのだろう? 

 愛輝はお金も携帯も持たずに飛び出した事に気が付いた。


 歩きながら頭の中に、拓真と祐介の会話が繰り返される。

 拓真が父親で無いなんて信じたく無かった。
 夢でなら早く覚めて欲しいと、冷たい雨の中を愛輝は歩き続けた。


 愛輝は気付くと真二のマンションの前に居た。


 玄関のチャイムを鳴らすが人の気配が無い。
 愛輝は玄関のドアに寄り掛かると、そのまま膝を抱えて座り込んだ。


 どのくらいの時間が経ったのか分からないが、車のヘットライトの明かりに愛輝は顔を上げた。

 マンションの駐車場に、一台の車が止まった。

 
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