嘘は輝(ひかり)への道しるべ
リビングのソファーに座り、大きな窓から見える、青々とした芝生の敷きつめられた広い庭を見ながら、二人は焼き立てのイチゴパイを口にした。
この屋敷の管理を任されている、佐々木(ささき)と言う年配の男が首に巻いたタオルで汗を拭きながら、庭の木々の剪定を行っていた。
ふと、愛輝と美香に気付き、白髪頭の皺くちゃな笑顔を向けた。
二人は佐々木に向かって、大きく手を振った。
ばあやが紅茶のお代わりを持って入ってきた。
「美香さん、夕食召し上がっていかれませんか? 今夜、旦那様も遅いようですし、お嬢様一人じゃお寂しいでしょうから…」
ばあやは、紅茶をカップに注ぎながら優しくほほ笑んで言った。
「ええ! いいんですか? でも、明日練習早いんだよな……」
美香は困ったように首を傾げ、残りのパイを口の中へ放り込んだ。
「それなら、泊まって行かれたらどうです? お弁当が必要ならお作りしますよ」
「やったー!」
愛輝と美香は同時に声を上げ、手を叩いて子供のように飛び跳ねた。
美香の家は、学校から電車で一時間近くかかる。
それでも、バスケの強い高校へ通いたいと進学したのだ。
だから、愛輝の家に泊まれるのは、部活に力を入れる美香にとってはとても有難いのだ……
愛輝の父はテレビ局関係の上役らしい事は聞いているが、愛輝は詳しくは知らない。
この家は祖父が残してくれた物だ。
別荘もいくつか持っている大金持ちだったが、五年程前に亡くなった。
母親も体が弱く、愛輝が小学校の入学を迎えると、肺炎を拗らせ亡くなってしまった。
それからは、ばあやが母親の代わりに愛輝の面倒を見てくれていた。
父親は本当に愛輝を可愛がっていて、愛輝も父親が大好きだった。
リビングの棚の上には、幼い愛輝が母親に抱かれた写真や、親子三人が手を繋いでいる写真など飾られていた。
ばあやはいつも優しく愛輝の事を気に掛けていてくれる。
でも、父が遅い日の夕食を一人で食べるのは寂しい……
美香と一緒に過ごせる夜に、つい気持ちが高ぶってしまう……
愛輝は、大きな屋敷に住むお嬢様。
しかし、一歩外に出ればそんなオーラは無く、地味で目立たない普通の女子高校生だった。
この屋敷の管理を任されている、佐々木(ささき)と言う年配の男が首に巻いたタオルで汗を拭きながら、庭の木々の剪定を行っていた。
ふと、愛輝と美香に気付き、白髪頭の皺くちゃな笑顔を向けた。
二人は佐々木に向かって、大きく手を振った。
ばあやが紅茶のお代わりを持って入ってきた。
「美香さん、夕食召し上がっていかれませんか? 今夜、旦那様も遅いようですし、お嬢様一人じゃお寂しいでしょうから…」
ばあやは、紅茶をカップに注ぎながら優しくほほ笑んで言った。
「ええ! いいんですか? でも、明日練習早いんだよな……」
美香は困ったように首を傾げ、残りのパイを口の中へ放り込んだ。
「それなら、泊まって行かれたらどうです? お弁当が必要ならお作りしますよ」
「やったー!」
愛輝と美香は同時に声を上げ、手を叩いて子供のように飛び跳ねた。
美香の家は、学校から電車で一時間近くかかる。
それでも、バスケの強い高校へ通いたいと進学したのだ。
だから、愛輝の家に泊まれるのは、部活に力を入れる美香にとってはとても有難いのだ……
愛輝の父はテレビ局関係の上役らしい事は聞いているが、愛輝は詳しくは知らない。
この家は祖父が残してくれた物だ。
別荘もいくつか持っている大金持ちだったが、五年程前に亡くなった。
母親も体が弱く、愛輝が小学校の入学を迎えると、肺炎を拗らせ亡くなってしまった。
それからは、ばあやが母親の代わりに愛輝の面倒を見てくれていた。
父親は本当に愛輝を可愛がっていて、愛輝も父親が大好きだった。
リビングの棚の上には、幼い愛輝が母親に抱かれた写真や、親子三人が手を繋いでいる写真など飾られていた。
ばあやはいつも優しく愛輝の事を気に掛けていてくれる。
でも、父が遅い日の夕食を一人で食べるのは寂しい……
美香と一緒に過ごせる夜に、つい気持ちが高ぶってしまう……
愛輝は、大きな屋敷に住むお嬢様。
しかし、一歩外に出ればそんなオーラは無く、地味で目立たない普通の女子高校生だった。