嘘は輝(ひかり)への道しるべ
撮影も順調に進み休憩に入いった。


 真二はスタジオの外へ出ると自動販売機へと向った。

 コーヒーのボタンに手をやると、


「今度の新曲もいい曲ね…」


 愛輝の声に真二は振り向いた。



「おい! こんな所に来ていちゃだめじゃないか!」


「トイレよ!」

 ヒカリは口を尖らせた。


「トイレはこっちじゃないだろう?」

 真二は慌てて周りに人が居ない事を確認した。



「ねえ、今日撮影が終わったらいつもの喫茶店で待っていていい?」



「ああ… 予定より早く終わりそうだな。たまにはメシでも食うか?」


「本当に?」

 ヒカリは目を輝かせた。


「ああ。早く戻れ!」


 真二はヒカリの背中を押した。


 ヒカリの足取り軽く去って行く姿に、真二はため息と同時にほほ笑みが漏れた。


 
 真二が缶コーヒーの蓋を開けた瞬間、反対側の廊下から近づいて来た影が姿を見せた。
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