嘘は輝(ひかり)への道しるべ
その日は、愛輝の所属している、ボランティア同好会の週に一回の活動があった。
今日は近くの保育園へボランティアに行く予定だ。
集合時間まで後数分しかなく、愛輝は階段を一気に駆け下りた。
最後の一段を下り廊下へ出た瞬間、誰かとぶつかり尻もちをつてしまった。
慌てて愛輝は「すみせん」とあやまり立ち上がろうと壁に手をつくと、ぶつかった相手の手が差し出された。
顔を上げると、「ごめん」と謝ったのは拓海だった。
拓海は愛輝の手を掴み引き上げると、
「大丈夫? 怪我しなかった?」
心配そうな顔を向けた。
「大丈夫です」と愛輝は言うと、慌ててその場を走り去った。
胸がドキドキして、顔がほてっているのが分かった。
きちんと謝るべきだったと、後で冷静になると自分の勇気の無さに後悔した。
次の日の放課後、愛輝が廊下を歩いていると後ろからかけられた声に足が止まった。
「昨日は大丈夫だった? A組の紫芝さんでしょ?」
振り向くと、拓海が愛輝を見て立っていた。
「あっ。はい…… 何で私の名前知っているんですか?」
愛輝は小さな声で恐る恐る聞いた。
「そりゃ、同じ学年だから名前くらいは知っているよ。おれは気賀沢拓海、C組。宜しく」
それだけ言うと、拓海は走り去って行ってしまった。
それから、拓海は時々愛輝に声を掛けてくるようになった。
愛輝の心は、どんどんと拓海に惹かれていた。
今日は近くの保育園へボランティアに行く予定だ。
集合時間まで後数分しかなく、愛輝は階段を一気に駆け下りた。
最後の一段を下り廊下へ出た瞬間、誰かとぶつかり尻もちをつてしまった。
慌てて愛輝は「すみせん」とあやまり立ち上がろうと壁に手をつくと、ぶつかった相手の手が差し出された。
顔を上げると、「ごめん」と謝ったのは拓海だった。
拓海は愛輝の手を掴み引き上げると、
「大丈夫? 怪我しなかった?」
心配そうな顔を向けた。
「大丈夫です」と愛輝は言うと、慌ててその場を走り去った。
胸がドキドキして、顔がほてっているのが分かった。
きちんと謝るべきだったと、後で冷静になると自分の勇気の無さに後悔した。
次の日の放課後、愛輝が廊下を歩いていると後ろからかけられた声に足が止まった。
「昨日は大丈夫だった? A組の紫芝さんでしょ?」
振り向くと、拓海が愛輝を見て立っていた。
「あっ。はい…… 何で私の名前知っているんですか?」
愛輝は小さな声で恐る恐る聞いた。
「そりゃ、同じ学年だから名前くらいは知っているよ。おれは気賀沢拓海、C組。宜しく」
それだけ言うと、拓海は走り去って行ってしまった。
それから、拓海は時々愛輝に声を掛けてくるようになった。
愛輝の心は、どんどんと拓海に惹かれていた。