嘘は輝(ひかり)への道しるべ
ヒカリは呆然と控え室のドアを開け、目の前の椅子に崩れるように座った。
「ここに居たのか?」
祐介が控室へ入って来た。
美香も一緒だ。
「何かあったの?」
美香が、愛輝の表情に気付き顏を曇らせた。
「あゆみって子が、ヒカリが愛輝だって知っていたの…」
ヒカリが震える声で呟いた。
「どういう事だ?」
祐介は冷静に言ったが、口調は鋭かった。
「私にも分からないの…… 真二くんが言ったって。真二くん私と別れたいって……」
愛輝は両手で顔を覆った。
「あの真二がヒカリの事を言うとは思わないけど…… 何か訳があるんじゃないの?」
美香が優しくヒカリの肩を抱いた。
「真二が本当に別れるって言ったのか?」
祐介が、泣き崩れるヒカリを見て言った。
「うん。でも俺を信じてくれって。意味が分からないままなのよ……」
「愛輝、お前はどうなんだ? 真二を信じているのか?」
祐介の言葉が、愛輝の胸の中を締め付けていく……
「信じたいけど…… 分からない……」
「分からないなら、別れた方がいいな」
祐介が冷たく言い放った。
「そんな……」
まさか、そんな事を言われると思っていなかった愛輝は驚いて顔を上げた。
「私もそう思うな…… 信じてくれ、って言われたなら、それだけでいいじゃない? 他人の言葉に振り回されるくらいなら、別れても別に問題ないと思うわ」
美香の言葉が、ヒカリの胸にグサッと突き刺さり、初めて自分の事しか考えていなかった事に気付いた。
ヒカリは真二の事を思い出した。
どれほど愛輝の事を大切に思っていてくれているのか、愛輝だって分かっている。
「信じてくれ」って言った真二の目は本気だった。
一瞬でも、あゆみの言葉に真二を疑った自分を悔やんだ。
「真二、さっきのリハーサルの時のギター凄くいい音出していたな…… じっとヒカリを見て演奏していた…… お前に伝えたかったんじゃないか?
お前も真二を信じているなら、ヒカリのプロ意識をしっかり見せてやったらどうだ? それが真二の気持ちに答える事だと思うが……」
「兄さん……」
「別に俺は、お前達が別れてもかまわんが。ヒカリ、撮影どうする?」
そうだ、真二はただ愛輝に信じて欲しいと言ったのに、信じるという一言を、何故言え無かったのだろう……
それだけで、私達は良かったはずなのに……
「…… 勿論、やるわ!」
ヒカリは力強く答え、立ち上がった。
「美香、ヒカリのメイク直しにもう少し時間欲しいと伝えてきてくれ!」
「オッケー」
美香は急いで控室を出て行った。
ヒカリは祐介にメイクを直してもらいながら、魔法が掛かって行く自分に、ヒカリとしての自信だけでなく、愛輝としての人を思う気持ちが強くなっていくようだった
「ここに居たのか?」
祐介が控室へ入って来た。
美香も一緒だ。
「何かあったの?」
美香が、愛輝の表情に気付き顏を曇らせた。
「あゆみって子が、ヒカリが愛輝だって知っていたの…」
ヒカリが震える声で呟いた。
「どういう事だ?」
祐介は冷静に言ったが、口調は鋭かった。
「私にも分からないの…… 真二くんが言ったって。真二くん私と別れたいって……」
愛輝は両手で顔を覆った。
「あの真二がヒカリの事を言うとは思わないけど…… 何か訳があるんじゃないの?」
美香が優しくヒカリの肩を抱いた。
「真二が本当に別れるって言ったのか?」
祐介が、泣き崩れるヒカリを見て言った。
「うん。でも俺を信じてくれって。意味が分からないままなのよ……」
「愛輝、お前はどうなんだ? 真二を信じているのか?」
祐介の言葉が、愛輝の胸の中を締め付けていく……
「信じたいけど…… 分からない……」
「分からないなら、別れた方がいいな」
祐介が冷たく言い放った。
「そんな……」
まさか、そんな事を言われると思っていなかった愛輝は驚いて顔を上げた。
「私もそう思うな…… 信じてくれ、って言われたなら、それだけでいいじゃない? 他人の言葉に振り回されるくらいなら、別れても別に問題ないと思うわ」
美香の言葉が、ヒカリの胸にグサッと突き刺さり、初めて自分の事しか考えていなかった事に気付いた。
ヒカリは真二の事を思い出した。
どれほど愛輝の事を大切に思っていてくれているのか、愛輝だって分かっている。
「信じてくれ」って言った真二の目は本気だった。
一瞬でも、あゆみの言葉に真二を疑った自分を悔やんだ。
「真二、さっきのリハーサルの時のギター凄くいい音出していたな…… じっとヒカリを見て演奏していた…… お前に伝えたかったんじゃないか?
お前も真二を信じているなら、ヒカリのプロ意識をしっかり見せてやったらどうだ? それが真二の気持ちに答える事だと思うが……」
「兄さん……」
「別に俺は、お前達が別れてもかまわんが。ヒカリ、撮影どうする?」
そうだ、真二はただ愛輝に信じて欲しいと言ったのに、信じるという一言を、何故言え無かったのだろう……
それだけで、私達は良かったはずなのに……
「…… 勿論、やるわ!」
ヒカリは力強く答え、立ち上がった。
「美香、ヒカリのメイク直しにもう少し時間欲しいと伝えてきてくれ!」
「オッケー」
美香は急いで控室を出て行った。
ヒカリは祐介にメイクを直してもらいながら、魔法が掛かって行く自分に、ヒカリとしての自信だけでなく、愛輝としての人を思う気持ちが強くなっていくようだった