嘘は輝(ひかり)への道しるべ
「それでは、撮影始めます!」
スタッフの声が響き渡った。
バンドの前に、ヒカリとリョウが距離を置いて向き合っている。
ギターの音が響き演奏がはじまる。
ヒカリは背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見て呼吸を整えた。
ギターの音に背中を押されるように、ヒカリは走り出した。
カメラに映るヒカリの笑顔に、誰もが息を呑んだ。
一瞬、リョウがヒカリの笑顔に動けずにいたが、直ぐに手を差し伸べヒカリを受け入れた。
「オッケー」
の合図とともに歓声と拍手がスタジオ中に響き渡った。
真二に愛輝の気持ちは伝わったのだろうか?
きっと、分かってくれるははずだ……
「凄く、可愛い―」
「あんな笑顔みせられたら、男はメロメロだよ」
「このアルバム、又話題になるだろうな」
スタッフが口々に、ヒカリの笑顔を絶賛した。
ヒカリが深々と皆に頭を下げた。
後ろで見ていたあゆみが舌打ちをして、悔しそうにスタジオを出て行く。
「よく頑張ったな…… 」
祐介がいつの間にか、ヒカリの後ろに立っていた。
「うん…… 今、私に出来る事は、これしかないから……」
「きっと、又話題になる。仕事も増えるだろうな……」
「ねぇ…… ヒカリが売れれば売れるほど、自分じゃない気がしてくるの…… 私なんかが、こんなに皆の注目を浴びていいのかな? 何も出来なくて、自分の事しか考えられないような臆病者なのに……
皆に期待されても自信がない……」
ヒカリは、皆の視線から離れるように、休憩用の椅子に座った。
「なぁ。ヒカリの立つ姿は、本当に綺麗だと思う。ヒカリの内面から出る真直ぐな姿を見た人達が、前を向いて歩こうって思えるんだと思う。そんな風に、誰かに力を与える事が出来る人は、限られた人だけだ。その中の一人にヒカリは居るんだよ」
「そりゃぁ、スポーツ選手や、世の中を動かすような人なら、人の心を変えることは素晴らしい事かもしれない。でも、私は違う…… ただ、カメラの前にいるだけ……」
ヒカリは肩を震わせて下を向いた。
「いいんだよ。ヒカリの真っ直ぐな目に動かされた人達は、その先の人生に自分で責任を持とうと思ったから前に進む事が出来るんだよ…… その、力をヒカリが持っているんだ」
「兄さん……」
「大丈夫だ…… ヒカリと言う名を借りている愛輝自身の力だ!」
祐介は、ヒカリの耳元で周りに聞こえないよう小さな声で言った。
ヒカリは、黙ってコクリと肯いた。
ヒカリの姿に真二が切なそうな目を向けた。
その視線が、一瞬だが祐介と重なった。
スタッフの声が響き渡った。
バンドの前に、ヒカリとリョウが距離を置いて向き合っている。
ギターの音が響き演奏がはじまる。
ヒカリは背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見て呼吸を整えた。
ギターの音に背中を押されるように、ヒカリは走り出した。
カメラに映るヒカリの笑顔に、誰もが息を呑んだ。
一瞬、リョウがヒカリの笑顔に動けずにいたが、直ぐに手を差し伸べヒカリを受け入れた。
「オッケー」
の合図とともに歓声と拍手がスタジオ中に響き渡った。
真二に愛輝の気持ちは伝わったのだろうか?
きっと、分かってくれるははずだ……
「凄く、可愛い―」
「あんな笑顔みせられたら、男はメロメロだよ」
「このアルバム、又話題になるだろうな」
スタッフが口々に、ヒカリの笑顔を絶賛した。
ヒカリが深々と皆に頭を下げた。
後ろで見ていたあゆみが舌打ちをして、悔しそうにスタジオを出て行く。
「よく頑張ったな…… 」
祐介がいつの間にか、ヒカリの後ろに立っていた。
「うん…… 今、私に出来る事は、これしかないから……」
「きっと、又話題になる。仕事も増えるだろうな……」
「ねぇ…… ヒカリが売れれば売れるほど、自分じゃない気がしてくるの…… 私なんかが、こんなに皆の注目を浴びていいのかな? 何も出来なくて、自分の事しか考えられないような臆病者なのに……
皆に期待されても自信がない……」
ヒカリは、皆の視線から離れるように、休憩用の椅子に座った。
「なぁ。ヒカリの立つ姿は、本当に綺麗だと思う。ヒカリの内面から出る真直ぐな姿を見た人達が、前を向いて歩こうって思えるんだと思う。そんな風に、誰かに力を与える事が出来る人は、限られた人だけだ。その中の一人にヒカリは居るんだよ」
「そりゃぁ、スポーツ選手や、世の中を動かすような人なら、人の心を変えることは素晴らしい事かもしれない。でも、私は違う…… ただ、カメラの前にいるだけ……」
ヒカリは肩を震わせて下を向いた。
「いいんだよ。ヒカリの真っ直ぐな目に動かされた人達は、その先の人生に自分で責任を持とうと思ったから前に進む事が出来るんだよ…… その、力をヒカリが持っているんだ」
「兄さん……」
「大丈夫だ…… ヒカリと言う名を借りている愛輝自身の力だ!」
祐介は、ヒカリの耳元で周りに聞こえないよう小さな声で言った。
ヒカリは、黙ってコクリと肯いた。
ヒカリの姿に真二が切なそうな目を向けた。
その視線が、一瞬だが祐介と重なった。