嘘は輝(ひかり)への道しるべ
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真二は、もうすぐ始まるコンサートツアーに向けて準備に追われていた。
バンドの練習が終わりスタジオ出ると、すでに辺り真っ暗になっていた。
真二はポケットからスマホをだし、愛輝からの最後の着信を黙って見つめた。
駐車場に停めてある車の前に、人影が動いた。
「ちょっといいか?」
姿を現し、声を掛けてきたのは祐介だった。
「ああ……」
真二は、一瞬驚いて祐介を見たが素直に肯いた。
真二は、一軒のバーへと入って行く祐介の後に続いた。
落ち着いた店のカウンターには、二入以外誰も居ない。
バーテンが水割りを二人の前に置くと、奥へと姿を消した。
「仕事忙しいのか?」
祐介が口を開いた。
「ええ。ツアーの前なので…… 話って、愛輝の事ですか?」
真二が予測していたかのように、静かに言った。
「ああ。愛輝と別れたそうだな? いい加減な気持ちなら別れてもらった方がいい」
「愛輝の事は本気だ。でも今はダメなんです」
真二は水割りのグラスを口に運んだ。
「あゆみって子が、ヒカリの事を知っていたんだが、その事と関係あるのか?」
祐介は真二の方へ目を向けずに、片手で水割りのグラスを回した。
「えっ! どうしてそれを?」
真二の表情は強張り、祐介を見た。
祐介のグラスから、カランと氷が崩れる音が響く。
「愛輝に、お前が教えてくれたって言ったらしい」
「そんな…… なんであいつ!」
真二が悔しそうに拳を握った。
「どういう事か話してくれないか? 兄として、愛輝を守りたい気持ちはお前と同じだ」
真二は、ため息を着くと水割りを一口飲み、覚悟を決めたように祐介の方へ目を向けた。
真二は、もうすぐ始まるコンサートツアーに向けて準備に追われていた。
バンドの練習が終わりスタジオ出ると、すでに辺り真っ暗になっていた。
真二はポケットからスマホをだし、愛輝からの最後の着信を黙って見つめた。
駐車場に停めてある車の前に、人影が動いた。
「ちょっといいか?」
姿を現し、声を掛けてきたのは祐介だった。
「ああ……」
真二は、一瞬驚いて祐介を見たが素直に肯いた。
真二は、一軒のバーへと入って行く祐介の後に続いた。
落ち着いた店のカウンターには、二入以外誰も居ない。
バーテンが水割りを二人の前に置くと、奥へと姿を消した。
「仕事忙しいのか?」
祐介が口を開いた。
「ええ。ツアーの前なので…… 話って、愛輝の事ですか?」
真二が予測していたかのように、静かに言った。
「ああ。愛輝と別れたそうだな? いい加減な気持ちなら別れてもらった方がいい」
「愛輝の事は本気だ。でも今はダメなんです」
真二は水割りのグラスを口に運んだ。
「あゆみって子が、ヒカリの事を知っていたんだが、その事と関係あるのか?」
祐介は真二の方へ目を向けずに、片手で水割りのグラスを回した。
「えっ! どうしてそれを?」
真二の表情は強張り、祐介を見た。
祐介のグラスから、カランと氷が崩れる音が響く。
「愛輝に、お前が教えてくれたって言ったらしい」
「そんな…… なんであいつ!」
真二が悔しそうに拳を握った。
「どういう事か話してくれないか? 兄として、愛輝を守りたい気持ちはお前と同じだ」
真二は、ため息を着くと水割りを一口飲み、覚悟を決めたように祐介の方へ目を向けた。