嘘は輝(ひかり)への道しるべ
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愛輝は、リビングに拓真と祐介、美香の三人を呼び出した。


「話があるの」

愛輝は三人の顔を見渡した。


「決めたのね?」

美香がソファーに座り、待っていたとばかりに言った。


愛輝は深く肯いた。


「私、引退するわ」


 愛輝の言葉にしばらくの間、誰も口を開かなかった。



「そうか……」

 拓真が,落ち着いた口調で言った。


「えっ。皆驚かないの?」


「そう言うんじゃないかと思っていたよ」


 拓真が、穏やかな視線を愛輝に向けた。

 祐介と美香も黙って肯いた。



「どうして?」

 愛輝の方が驚いている。



「ヒカリになって、愛輝が自信を持てればいいって始めは思っていたけど、いつの間にか愛輝自信が強くなったなって… だから、いつまでもヒカリでいる必要は無いだろう?」

 祐介が、愛輝に確認するように言った。


「それに、愛輝は世界中から好かれるより、たった一人の人に好かれていたい人よね? まあ、芸能界で成功するには、欲が無さすぎるっていうのかな?」

 悟ったように言った、美香の顔は少し寂しそうに見えた。


「ごめんなさい…… わがまま言って…」

 愛輝が、申し訳なさそうに下を向く。


「いいさ、心配するな…… だが、これからどうするんだ?」

 拓真が不安な顔をしいている。


「このまま大学で、保育士資格を取ろうと思っているの。高校の時、クラブで保育園にボランティアに行った時の事を思い出して……」


「保育士か……」

 拓真が懐かしい表情をして窓の外に目を向けた。
 

「どうかしたの?」


「愛輝と祐介を生んだ母親が…… 彩と言ってな、私がいくら芸能界への道を進めても、嫌だと言って保育士になったんだ。優しくて子供からも好かれて、いい先生だったよ」

 拓真はの目は、なんだか少し嬉しそうであった。


「えっ。そうだったの… なんだか不思議ね」

 愛輝は、少し自分の選んだ道が明るく照らされた気がした。



 リビングのドアが開き、ばあやが紅茶を持って入って来た。


「ところで、美香ちゃんはどうするの?」


 愛輝が、美香の方を見た。


 
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