嘘は輝(ひかり)への道しるべ
 美香はチラっと祐介の顔を見た。


「私は別に…」


「あそっか! 兄さんと相談してからか…」


「えっ! 何を言っているのよ?」

 美香は慌てて両手を振る。


「だって二人付き合っているのよね?」

 愛輝の言葉に美香と祐介は顔を見合わせた。


「どうして?」

 美香の頬が赤く染まり、女らしい表情になった。
 愛輝が見たこともない、美香の姿だった。  


「だって―。いくらこの家が大きくても、美香ちゃんが兄さんの部屋に泊まっていた事ぐらい、いくら私でも気が付くわよ」


「私でさえ、解っておったぞ」

 拓真が皮肉たっぷりの笑みを見せた。


「まあ、なんて事でございましょう。わたくしは、旦那様とお嬢様にご内密している事に、心痛めておりましたのに…」


 ばあやが申し訳なさそうに、拓真に頭をさげた。


「僕がばあやに、秘密にして下さいとお願いしたんです。すみません黙っていて…」

 祐介が頭を下げ、美香も祐介と共に頭を下げた。


 愛輝は、大好きな親友と兄の姿に幸せを感じ笑みが漏れた。


「まあいいさ。二人の恋愛に口は出さんよ。お似合いだと思うよ」

 拓真もほほ笑んだ。


「それが… おじさんもう一つお話しが…」

 祐介が美香の顔を伺った。

 美香が肯いた。


「なんだ?」

 拓真が紅茶のカップを口に運んだ。

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