嘘は輝(ひかり)への道しるべ
 
 空港の出発ロビーに、ニューヨーク便のアナウンスが流れた。


「真二、そろそろ時間だ。愛輝ちゃんも元気で…」

 少し離れた所で待っていた隆が、真二の元へ近付いて来た。


「ああ…」

 真二がギターケースを肩に掛けた。



「真二は、こう見えて愛輝ちゃん一筋だから大丈夫だよ」

 隆がニヤニヤと真二を見た。



「余計な事はいい! 行くぞ」


 真二と隆の向かう先に、深く帽子を被り、少し痩せたリョウが、愛輝に頭を下げた。



 真二は、もう一度、愛輝の方へ振り向き、小さな笑みを見せた……


 出国口へと向う真二の背中を見つめる愛輝の心は、深い愛に包まれた……



 真二は、日本を発った……


 

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