いつの日か、あなたを。
地図を見て、スマホの地図アプリも見て、道行く人に何度も訪ねて、やっとの思いで「ごはんや」に着いた。
もう辺りは真っ暗で、4階建てのビルの一階を照らすように街灯がともされている。
「えっと…ここの一階が『ごはんや』で、2階が借家になってるんだ…」
ごはんやの玄関の左横に、上階へ上がる階段がある。この大荷物を持っていくには一度じゃ難しそうだ。
もう体は疲れきっている。こうなったら気力しかないかも。
「よしっ!」
持てる分の荷物を持って、一回目を行こうとしたとき
ガラッ
ごはんやの扉が開いて、高校生かと思うような男が出てきた。
「―――…っ」
綺麗な茶色の目を見開いて、お店のエプロンをつけていたその人。
この出会いが、運命だったとか、
そんな話はまだ、知るすべもない。