実は人じゃないんです
「姉ちゃんと離れたくないよ」




「葵・・・」
「葵くん・・・」



ただ困らせるだけだってわかってた


「離れたく・・・ないよぉ」


うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


わがままだって
それでも





姉ちゃんと離れるって思ったら
涙が止まらなかった





「おばさん。」

「え・・・?」

姉ちゃんはゆっくりとかがんで俺の肩を持ち、目を交わらせた

「すいません。葵のことは私に任せてください」

「えっ・・・」

姉ちゃんは俺の頭を軽くなでる





「葵。姉ちゃんが守ってあげるから」






姉ちゃんは一度離した右手をもう一度強く握りなおした


「ね・・・え・・・ちゃ・・・ん・・・?」


















どうやったのかそのときは知らなかったけど

聞いた話ではいろんな家に頼み込んで仕事が見つかるまでも仕送りをしてもらってまでして俺を引き取って

バレーの推薦でされていた高校けって仕事探して

仕事が決まってからはちょっとずつ返していってたらしい







俺は姉ちゃんの未来を奪った






だけど姉ちゃんはいつだって笑顔だった

その笑顔とあの時の温かい強い右手がいつだって俺を守ってくれていた
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