最初で最後の恋だから。ーセンセイー
商業科目は解らない事だらけだ。

算数すら危うい所のある私には結構キツい。

それでも、普通高校には行きたくなかった。

同じ高校にだけは行きたくなかったから。

なのに、何故アイツが同じ学校にいるんだろう。

(校内でまた遭ったらどうしよう)

考えたくないのにアイツが頭を占有していく。

改竄出来ない過去の記憶で、苦しい。

授業なんて聞こえてこなかった。

4限目になって、私は保健室に行かされた。

熱を計ると37度3分あって保健の濱上先生はベットに横になるよう言ってくれた。

ベッドに横になっているとアイツの顔が浮かび、声が響いてくる。

『また今度遊ぼうぜ』

(怖い・・・怖いよ)

保健の先生はちょっと出てくるわね、といって部屋から出てしまった。

熱が上がってきたのかぼうっとする。

「助けて。」

誰もいない保健室に呟きは吸われていった。
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