最初で最後の恋だから。ーセンセイー
勉強する先輩、本を読む先輩、図書委員なのだろう片付けをする先輩たちの邪魔にならないよう端っこの席に座り本を広げた。

本を読むのは好きだ。

本は色々なことを私に教えてくれる。

知らない国の風景から、聞いたことない
国の言葉や話したことのない人たちの想い。

熱中しているとチャイムが鳴った。

外は夕暮れに赤く染まり、桜とのコントラストがこの上なく美しかった。

「そろそろ閉館の準備をしようかしらね。」

司書の佐藤先生が小部屋から出てきて私も退出の準備をしようと思った、その時だった。

ガラガラ・・・ッ。

図書室の扉に不似合いな大きい音がした。

「すみません、失礼します。」

(どこかで聞いた声だ)

「まあまあ、伊藤先生。」

「急いでどうなさったのかしら?」

「先日お借りしていた資料を返しに来ました。
閉館時刻間際だったので走ってきて・・・。」

そう言うと彼は私に目を向けた。

「一年生か?
もう遅いから気をつけて帰れよ。」

これが先生との初めての会話だった。
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