最初で最後の恋だから。ーセンセイー
毎日私は5時起きだ。

5時に起きて6時には家を出る。

なんだか平凡なサラリーマンみたいだ。

バスに揺られて7時には学校に着く。

クラスで1番早いからいつも職員室により鍵を受け取ってから教室に行く。

次の子が来るまで30分以上あるので一人きりのクラスでチョコレートをつまみながら本を読んでいる。

今読んでいるのは俵万智のサラダ記念日。

可愛らしい女心が詰まった短歌。

繰り返し図書館で借りていたけど買ってしまった大好きな一冊。

実際に恋をすることなどないのだろうけど。

私の学校は生徒の8割が女生徒だ。

恋愛対象になる男子生徒は少なすぎるし何より私は同年代の男の子が怖い。

私をいじめていた人たちの中には同い年の男の子もいたからだ。

7時半を過ぎて机の上を片付ける。

1限目は国語だ。

国語の授業は嫌いじゃない。

商業高校だから週三回しかないけれど。

一通りの用意を揃えた後、私は髪を弄り始めた。

高校生になったら髪を伸ばして良い。

母との約束だった。

小さな頃から男の子と間違われるのが嫌で髪の毛をずっと伸ばしたかった。

少し伸びた髪をまとめ、くまのバレッタで止めた。
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